日本のネット言論の先駆けであり、ブログ界きっての論客として知られるきっこさんが『無思考国家 だから二ホンは滅び行く国になった』のレビューを執筆して下さいました。以下は『きっこのメルマガ 第169号』 で配信されたものですが、ご厚意により弊社HPでの転載を許可して頂いた次第です。この場を借りまして、筆者、広報担当共々、きっこさんに厚く御礼を申し上げます。
以下、『きっこのメルマガ』掲載文より
【ブックレビュー】
あたしの尊敬している社会学作家、秋嶋亮さんの新刊『無思想国家』(白馬社)が、5月25日に上梓されました。秋嶋さんのご著書には、毎回のように驚かされますが、今回はすべての面において、過去最高と言っても過言ではないほどの衝撃を受けました。しかし、それは既定路線だったようです。
秋嶋亮さんのご著書は、以前、このコーナーで紹介した『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』(白馬社)という人気シリーズもお馴染みですが、実は、今回の『無思想国家』は、この人気シリーズの集大成として刊行された新刊なのです。そのため「だからニホンは滅び行く国になった」という副題が添えられており、秋嶋さんご自身も「まえがき」の冒頭で「シリーズの総括として刊行」と明言しています。
しかし、その編集形態は、シリーズとは大きく異なります。これまでのシリーズは、あたしたちが直面している数々の社会問題を1ページ1テーマで取り上げ、すべて300文字以内で簡潔に解説した上で、その問題の奥に潜む本当の問題点を可視化するという、一読で理解できる読者視点の編み方をしていました。しかし、今回の『無思想国家』は「対話形式」なのです。
白馬社編集部が聞き手となり、基本的には秋嶋さんが質問に答えるというスタイルをベースに、様々な社会問題を掘り進めています。短いセンテンスによるリズム良い応答の連続なので、一問一答とは違って、何層にも折り重なった複雑な問題も、タマネギを一枚一枚剥いて行くように解き明かしています。そして最後には、個々の問題の全容と本質が見えて来るのです。
『無思想国家』は、第1章「日本の暗黒化が止まらない」、第2章「直視すべき過去と現在と未来」、第3章「無知を自覚しないという悪」、第4章「洗脳と調教の国家」、第5章「破局の時代に突入した」という5つの大きな章に分けられています。そして、第1章から第4章まではそれぞれ8話、第5章は6話という、各話が数ページの短い対話にまとめられています。あらゆる現象を語彙化して理解を促進させるという秋嶋さんの手法と、簡潔な受け答えが相まって、とても分かりやすくサクサクと読み進められました。
秋嶋亮さんの持ち味と言えば、膨大な資料やデータをもとに、世の中のカラクリの裏の裏まで明らかにしてしまう分析力と洞察力です。しかし、だからこそ、時には常人の想像力の及ばない突飛とも思える言説、一見、陰謀論とも思えるような言説に至ってしまうこともあります。
たとえば、今回の『無思想国家』の第1章の中には「知られざるナチスとワクチンの関係」という対話があります。著者名を知らせずに、このタイトルだけを聞かせた場合、たぶん何割かの人は「陰謀論なのでは?」と疑心暗鬼になると思います。しかし、実際に読んでみると、すべて事実のみを積み重ねるというシンプルな手法で、治験も終えていない新型コロナワクチンの接種を子どもにまで推し進めた為政者の目論見が、白日の下に晒されているのです。
秋嶋亮さんの新刊『無思想国家』(白馬社)は、今、あたしたちが向かい合っている数々の社会問題、ほぼすべての実体を明らかにしている必読書です。たとえば、あたしたちがこれほど苦しんでいる新型コロナも、自民党政権にとっては「渡りに船」なのです。自民党政権が新型コロナを利用して、さらなる搾取や支配を進めている事実が、理論立てて解説されています。
あたしは、この一冊を読み終えた時、これまで決して完成することのなかった脳内の複雑なジクソーパズルが、最後の1ピースまでピタリと嵌ったような、とてもスッキリした気分になりました。どの対話も「なるほど!」の連続で、頭の中の靄(もや)が晴れ渡りました。税別1700円ですが、倍以上の価値がある一冊なので、今夏の参院選に向けて、ぜひ一人でも多くの人に読んでほしいと思います。