日本のネット言論の先駆けであり、ブログ界きっての論客として知られるきっこさんが『いい加減目覚めなさい 二ホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ・総集編』のレビューを執筆して下さいました。以下は『きっこのメルマガ 第301号』 で配信されたものですが、ご厚意により弊社HPでの転載を許可して頂いた次第です。この場を借りまして、筆者、広報担当共々、きっこさんに厚く御礼を申し上げます。
以下、『きっこのメルマガ』掲載文より
「ブックレビュー」
これまで何度かこのコーナーで紹介して来た社会学作家、秋嶋亮さんの新刊『いい加減目覚めなさい 二ホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ・総集編』が、2025年2月28日、白馬社より刊行されました。いつもの長いタイトルの最後に「総集編」とあるように、本作は大反響を呼んだ『二ホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』シリーズ4部作の総集編です。まずは、すべて白馬社から刊行されているシリーズ4部作を改めて紹介します。
『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ 15歳から始める生き残るための社会学』(2017年)
『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ 16歳から始める思考者になるための社会学』(2019年)
『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK 17歳から始める反抗者になるための社会学』(2021年)
『日本が世界地図から消える前に 最悪の時代を生き抜くための社会学』(2023年)
2017年に刊行された第1弾だけは、当時の筆名「響堂雪乃」名義ですが、第2弾以降は「秋嶋亮(あきしま りょう)」名義です。また、第4弾だけメインタイトルが違うのは、第1弾から第3弾までの完結編として書かれているからです。そして、その完結編である第4弾の冒頭に掲げられているのが、秋嶋さんの次の言葉です。
「世界について無知であること。正義のない国で生きていること。現実の基盤を失っていること。思考するに足る語彙を持たないこと。これが私たち日本人の原点である。」
このメッセージからも感じられるように、このシリーズは、ある意味「語彙辞典」です。1ページごとに1つのテーマが150~200文字ほどの短文で、とても分かりやすく的確に解説されており、その現象や状態を示す言葉が紹介されているのです。まだ読んだことのない人は分かりずらすので、今回の新刊から1ページだけ、例として引いてみますね。
「アメリカが作った日本の奴隷制度」
今や日本の勤労者の約4割が非正規労働者です。そのため低賃金が蔓延し、内需が激減し、消費不況が続いているのです。だから景気を良くするには派遣を禁止しなくてはなりません。ところが派遣法の改悪はアメリカの命令です。だから派遣制度を廃止できないのです。このように大国が属国を強権的に支配する体制を「へゲモニズム(覇権主義)」と言います。
すごく分かりやすい上に、シレッと「派遣」と「覇権」がカケてあるのは偶然だと思いますが、この項目を読んだ瞬間、多くの人の脳裏に、大手派遣会社「パソナ」の会長を長年つとめていた竹中平蔵氏の顔が浮かんだのは、もしかしたら秋嶋さんの計算なのかもしれません。このように、現在の日本社会が内包する大小様々な問題点を分かりやすく解説し、それを表わす語彙を紹介しています。
きちんと章立てされているので、最初は1ページ目から順番に読んで行くといろいろな気づきが連鎖して蓄積されて行きますが、2回目からはパッとひらいたページを読むという楽しみ方もあります。そんな秋嶋亮さんの『二ホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』のシリーズですが、今回の「総集編」は、そのシリーズ4部作に溢れている数百のテーマの中から、選りすぐった183篇を再編集した集大成なのです。
そのため、あたしのような、このシリーズの愛読者にとっては、とても便利な「ダイジェスト版」とも言えますし、逆に、このシリーズを読んだことのない人にとっては、とても素晴らしい「入門書」とも言えるのです。全68巻もある『サザエさん』を1巻から読破するのは大変ですが、特に面白い作品だけを再収録した『よりぬきサザエさん』なら、気楽に読むことができます。
今回の新刊は、言わば『よりぬき秋嶋さん』というわけで、これまで秋嶋さんの著作を愛読して来た人たちはもちろんのこと、まだ読んだことがないという人たちにこそ、ぜひ読んでほしい1冊です。秋嶋亮さんの新刊『いい加減目覚めなさい 二ホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ・総集編』(白馬社)は、現在、アマゾンの部門別で1位のベストセラーになっています。ぜひ、お手に取ってみてください。