日本のネット言論の先駆けであり、ブログ界きっての論客として知られるきっこさんが『スマホに召集令状が届く日―ようこそ!戦争と独裁の未来へ―』のレビューを執筆して下さいました。以下は『きっこのメルマガ 第274号』 で配信されたものですが、ご厚意により弊社HPでの転載を許可して頂いた次第です。この場を借りまして、筆者、広報担当共々、きっこさんに厚く御礼を申し上げます。
以下、『きっこのメルマガ』掲載文より
【ブックレビュー】
孤高の社会学作家、秋嶋亮さんの新刊『スマホに召集令状が届く日ーようこそ!戦争と独裁の未来へー』(白馬社)が、8月1日に刊行されました。何となく今話題の女性ピン芸人「やす子」さんを思わせるような表紙の新刊をさっそく拝読したので、以下、ブックレビューを書きたいと思います。
今回の新刊は、2023年5月に刊行された『日本人が奴隷にならないためにー絶対に知らなくてはならない言葉と知識ー』(白馬社)の続編のような位置づけの対話編(ダイアローグ)です。これまでと同じく白馬社の編集部が聞き手となり、現在の日本のありとあらゆる問題を秋嶋さんが分かりやすく解説して行くというスタイルなので、まるでラジオの対談を聴いているように読み進めることができました。
秋嶋さんの著作を読むたびに驚くのが、その情報収集力と分析力の正確さ、洞察力の深さです。あたしは日本の政治や社会問題に興味を持ち、日々の報道などもチェックしていますので、それなりに情報を持っていると自負していました。しかし、秋嶋さんの著作を読むと、あたしが知ったつもりでいたのは、あくまでも表面上の出来事だけだったと思い知らされることが多々あります。
たとえば、安倍晋三元首相の銃撃事件を発端に発覚した「自民党と統一教会の癒着問題」に関してですが、一連の報道によって、昨年、岸田政権が立ち上げた「こども庁」が、統一教会の意向によって「こども家庭庁」に名称変更されたという事実を知りました。また、改憲を進める自民党の改憲草案が、実は統一教会の政治組織が作成した改憲草案と瓜二つだったという事実も報道で知りました。
こうした事実から、あたしは自民党が未だに統一教会と繋がっていると見て来ましたが、秋嶋さんの分析力はレベルが違いました。秋嶋さんは、統一教会が起草した改憲草案を使って自民党が何をしようとしているのか。日本をどの方向へ進めようとしているのか。今の子どもたちが若者になる近未来に、いったい何が起こるのかを予見しているのです。
「予見」と言っても、何の根拠もなく「30年後までに巨大地震が起こる」と言っているのではなく、膨大な量のデータと一次情報を収集し、分析し、洞察し、まずは現状をしっかりと把握した上で、この状態がこのまま続くと、この国は近い将来、どのようになるのか?秋嶋さんは小さなパズルのピースを1つずつ正確に組み合わせて行きます。この状態がこのまま続くと、国民にはどのような運命が待っているのか?秋嶋さんは、最後ピースを嵌め込みました。
そして完成した巨大なジグソーパズルが、今回の新刊『スマホに召集令状が届く日』なのです。そこに描かれているのは、どのような日本の姿なのか?どのような国民の運命なのか?この唯一無二の予見書を1人でも多くの人に体験してもらい、自身や家族の身を守るための対策の参考にしてほしいと思いました。
夏のある日、ドライブ中に人のいない静かな海岸を見つけたので、ひと泳ぎしようと準備をしていたら、地元の漁師さんがやって来て「この海にはサメが出るから入っちゃダメだ」と教えてくれました。「ああ、だから人がいなかったのか」、あたしはそう思いながら、海岸を後にしました。もしも漁師さんに会わなければ、あたしは何も知らない海に入り、サメに襲われていた可能性もあるのです。知識による予見とは、こういうことなのです。
最近になって岸田文雄首相が急に「改憲!」「改憲!」と騒ぎ始めましたが、あたしは秋の総裁選に向けて党内の保守派にアピールしているのだと思い、軽視していました。しかし、この『スマホに召集令状が届く日』を読み、そのもっと奥にある恐ろしい予見を知ることができたのです。そして、最後まで読み終わると、1ページ目の扉に書かれている次の一節の意味が良く分かるようになったのです。
「支配者たちが笑えと言えば笑い、戦えと言えば戦う、無知なる大衆、新型の奴隷、永遠の子どもが増えていく」という独裁者(ヒトラー)の言葉を、この国(二ホン)の今に当てはめて考えてみればいい。
8月1日に刊行された秋嶋亮さんの新刊『スマホに召集令状が届く日ーようこそ!戦争と独裁の未来へー』(白馬社)は、1600円+税で絶賛発売中です。ぜひお手に取ってお読みください。
また、巻末に掲載された鹿児島大学名誉教授でISF独立言論フォ―ラム編集長の木村朗氏の解説「秋嶋亮氏と一連の作品群について」も秀逸です。本書の解説としても優れていますし、秋嶋さんの著作を初めて読む人の参考にもなります。この解説は白馬社のHPでも紹介されていますので、興味を持たれた方は以下のURLからお読みください。